Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

さんにんのそうまだいさく

三人の相馬大作

直木 三十五

Read 三人の相馬大作 (さんにんのそうまだいさく) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 32,603 characters · 66 screens

Aozora Bunko

「然し、町人共は、よく申さぬな」

と、一人が、口を出した。

「平山行蔵を始めとして、あの門下一党は、世の中を、罵倒して、上役人の無為無能、下人民の奢侈、怠惰を口汚く申しておるが、江戸っ子はおもしろいものだ、そんなことは、蛙の面に水、大作を、役者に見立ててこの狂言大当りなどと、二枚画を出して、叱られた双紙屋さえあると申すのう」

「そうらしい」

と、右源太は頷いた。そして

「武士の作法で討つなら仕方があるまい」

といった。

「ところが――右源太」

と一人が、声を低くして

「大作が、もう一人いると申すでは無いか」

「ええ?」

「見かけたという奴が、確に、相馬大作で、然も、平山子龍の邸から出てくるのを見たというが、何うもおかしいの。討たれた奴が白昼出るのは?」

右源太は、黙っていた。そして

(本当だ)

と、思った。

(戻ってきているのかもしれぬ。然し、大手を振っては歩きはすまい。二度と、人に顔を見られるようなことはすまい。そんなことをしたなら、身の破滅だからな――俺は、何処までも、そいつは、他人の空似だと頑張っておればいい。もし、本物と判ったなら――その時は、その時だ)

「妙でないか」