Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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さんしろう

三四郎

夏目 漱石

Read 三四郎 (さんしろう) by Natsume Sōseki (夏目 漱石) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 169,765 characters · 343 screens

Aozora Bunko

た。往来は埃が二寸も積もっていて、その上に下駄の歯や、靴の底や、草鞋の裏がきれいにできあがってる。車の輪と自転車のあとは幾筋だかわからない。むっとするほどたまらない道だったが、構内へはいるとさすがに木の多いだけに気分がせいせいした。とっつきの戸をあたってみたら錠が下りている。裏へ回ってもだめであった。しまいに横へ出た。念のためと思って押してみたら、うまいぐあいにあいた。廊下の四つ角に小使が一人居眠りをしていた。来意を通じると、しばらくのあいだは、正気を回復するために、上野の森をながめていたが、突然「おいでかもしれません」と言って奥へはいって行った。すこぶる閑静である。やがてまた出て来た。

「おいででやす。おはいんなさい」と友だちみたように言う。小使にくっついて行くと四つ角を曲がって和土の廊下を下へ降りた。世界が急に暗くなる。炎天で目がくらんだ時のようであったがしばらくすると瞳がようやくおちついて、あたりが見えるようになった。穴倉だから比較的涼しい。左の方に戸があって、その戸があけ放してある。そこから顔が出た。額の広い目の大きな仏教に縁のある相である。