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ふちんぐんかんのみほん

不沈軍艦の見本

海野 十三

Read 不沈軍艦の見本 (ふちんぐんかんのみほん) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,749 characters · 24 screens

Aozora Bunko

それとも覚束のうございますかな」

特使は、わざと博士の気にさわるような言葉を使う。

「つまらんことを訊くものじゃない。この世の中にわしに出来ないものなどは、一つもないわ。不沈軍艦なぞ造ろうと思えばわけはない。十ヶ月の猶予期間さえあれば、不沈軍艦一隻、なんの造作もなく造って見せるわ」

と、博士は例によって、至極事もなげに言ってのける。

「えええッ」

と、仰天し、狂喜したのは、かの特使であった。

「本当でございますか、それは……あのう、十六吋の砲弾、いや十八吋の砲弾、二十吋の砲弾をうちこまれても沈まないのですぞ」

「砲弾をいくらうちこんでも、一つだって穴が明きはしない」

「えええッ。そいつは豪勢ですね。いや砲弾ばかりではない。空中からして、日本空軍のまきちらす重爆弾が雨下命中したらば、どうなりますか」

「たとえ幾十発幾百発の重爆弾が落ちてこようとも、あとに一つの穴だって明かない。絶対に大丈夫だ」

「しかし、このとき空中魚雷を抱きたる日本の攻撃機数十台が押し寄せ、どどどっと、空中魚雷を命中させ……」

「穴は明きません」

「続いて、果敢なる日本潜水艦隊が肉薄して、数十本の魚雷を本艦の横腹目がけて猛然と発射するときは……」