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せかいぶんがくたいけい58 カフカかいせつ
「世界文学大系58 カフカ」解説
原田 義人
Read 「世界文学大系58 カフカ」解説 (せかいぶんがくたいけい58 カフカかいせつ) by 原田 義人 (はらだよしと) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
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虫への変身という変った思いつきというのではなく、そこには作者の人間的境涯を見つめる凝視が感じられるはずである。
『流刑地で』は一九一四年十月に書かれ、一九年に単行本として出版された。エメリヒはおそらく大戦勃発によって受けた印象の下で書かれたものと推定している。カフカ自身が出版者への手紙のなかで、この作品に関して時代転換の問題を意識していたことをもらしているからである。エメリヒはこの短編を、古い掟と新しい掟との対立として解釈している。すなわち、古い秩序は救済(受刑者の苦しみによる認識ということが描かれている)のために人間を犠牲にし、新しい「人間的な」秩序は人間のために救済を犠牲にする、と考えられているというのである。なお、この作品は期せずしてナチスの強制収容所を予言したものであると受け取るような考えかたがあるが、そういう解釈はいきすぎといわなければならないだろう。
『火夫』は長編『アメリカ』の序章である。『アメリカ』は一九一二年から執筆された。この『アメリカ』という作品は、カフカの日記中の記述によって、今日では研究者たちのあいだで『失踪者』と呼ばれるのが通例となっている。