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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Read 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 179,458 characters · 363 screens
鹿の足
陳郡の謝鯤は病いによって官を罷めて、予章に引き籠っていたが、あるとき旅行して空き家に一泊した。この家には妖怪があって、しばしば人を殺すと伝えられていたが、彼は平気で眠っていると、夜の四更(午前一時―三時)とおぼしき頃に、黄衣の人が現われて外から呼んだ。
「幼輿、戸をあけろ」
幼輿というのは彼の字である。こいつ化け物だと思ったが、彼は恐れずに答えた。
「戸をあけるのは面倒だ。用があるなら窓から手を出せ」
言うかと思うと、外の人は窓から長い腕を突っ込んだので、彼は直ぐにその腕を引っ掴んで、力任せにぐいぐい引き摺り込もうとした。外では引き込まれまいとする。引きつ引かれつするうちに、その腕は脱けて彼の手に残った。外の人はそのまま立ち去ったらしい。夜が明けてみると、その腕は大きい鹿の前足であった。
窓の外には血が流れている。その血の痕をたどってゆくと、果たして一頭の大きい鹿が傷ついて仆れていた。それを殺して以来、この家にふたたび妖怪の噂を聞かなくなった。
羽衣
予章新喩県のある男が田畑へ出ると、田のなかに六、七人の女を見た。どの女もみな鳥のような羽衣を着ているのである。