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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Read 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 179,458 characters · 363 screens
午を過ぎると飄然として去り、半日に数千里を往復して夕刻には必ず帰って来る。夜は婦女にたわむれて暁に至り、かつて眠ったことがない。要するに※のたぐいである。
ことしの秋、木の葉が落ち始める頃に、かれはさびしそうに言った。
「おれは山の神に訴えられて、死罪になりそうだ。しかし救いをもろもろの霊ある物に求めたから、どうにか免かれるだろう」
前月、書物を収めてある石橋が火を発して、その木簡を焼いてしまった。かれは書物を石の下に置いたのである。かれは悵然としてまた言った。
「おれは千歳にして子がなかったが、今や初めて子を儲けた。おれの死期もいよいよ至った」
かれはまた、女たちを見まわして、涙を催しながら言った。
「この山は険阻で、かつて人の踏み込んだことのない所だ。上は高くして樵夫なども見えず、下は深うして虎狼怪獣が多い。ここへもし来る者があれば、それは天の導きというものだ」
怪物の話はこれで終った。※(「糸+乞」、第3水準1-89-89)はその宝玉や珍品や婦女らを連れて帰ったが、婦女のうちには我が家を知っていて、無事に戻る者もあった。※(「糸+乞」、第3水準1-89-89)の妻は一年の後に男の子を生んだが、その容貌は父に肖ていた。