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にじゅうしのひとみ
二十四の瞳
壺井 栄
Read 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 113,429 characters · 227 screens
早口にならべたてるのを、にこにこ笑いながらお母さんは聞いていたが、やがて、幼い子どもでもたしなめるようにいった。
「まるで、なんもかもひとのせいのようにいう子だよ、おまえは。すきできてもらった婿どのでないか。お母さんこそ、文句いいたかったのに、あのとき。わたしの二の舞いふんだらどうしょうと思って。でも、久子が気に入りの人なら仕方がないとあきらめた。それを、なんじゃ、今さら」
「すきと船乗りはべつよ。とにかくわたし、先生はもういやですからね」
「ま、すきにしなされ。今は気が立ってるんだから」
「気なんか立っていないわ」
学校でとはだいぶちがう先生である。しかしそのわがままないいかたのなかには、人の命をいとおしむ気持があふれていた。
やがておちついてふたたび学校へかようようにはなったが、新学期のふたをあけると大石先生はもう送りだされる人であった。惜しんだりうらやましがる同僚もいたが、とくに引きとめようとしないのは、大石先生のことがなんとなく目立ち、問題になってもいたからだ。それなら、どこに問題があるかときかれたら、だれひとりはっきりいえはしなかった。大石先生自身はもちろん知らなかった。