Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Read 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 113,429 characters · 227 screens

Aozora Bunko

やっぱりマスノがそういった。

「大へんだったのね。ほかのうち、どうだったの」

「よろずやの小父さんが、屋根のかこいをしよって、屋根から落ちたん」

「まあ」

「ミイさんとこでさえ、雨戸をとばしたんで。なあミイさん」

気がつくと、マスノがひとりでしゃべっている。

「ほかの人どうしたの。なんでもなかったの?」

山石早苗と目があうと、内気な早苗はあかい顔をしてこっくりした。マスノは先生のスカートをひっぱって、じぶんのほうへ注意をひき、

「せんせせんせ、それよりもまだ大騒動なんよ。米屋の竹一ん家は、ぬすっとにはいられたのに、なあ竹一。米一俵、とられたんなあ」

同意をもとめられて竹一は、うんとうなずき、

「ゆだんしとったんじゃ。こんな雨風の日はだいじょうぶだと思うたら、今朝んなって見てみたら、ちゃんと納屋の戸があいとったん。ぬすっとの家まで、米つぶがこぼれとるかもしれんいうて、お父つぁんがさがしたけんど、こぼれとらなんだん」

「まあ、いろんなことがあったのね。――ちょっとまって、自転車おいてくるから、またあとでね」

いつものとおり職員室のほうへ歩いてゆきながら、ふっと、いつもとちがった明かるさを感じて立ちどまった先生は、そこでまたおどろかされてしまった。