Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Read 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 113,429 characters · 227 screens

Aozora Bunko

ほんとに、すき勝手に遊んでよいのはひとりっ子のマスノとミサ子だけだ。

コトエの一言はみんなにそれを思いださせたが、しかし、思いとどまることはできない空気だった。

「めし食べたら、そうっとぬけだしてこうや」

小ツルが、乗りかかった船だとでもいうように、みんなをけしかけた。

「そうじゃ、みんなうちの人にいうたら、行かしてくれんかもしれん。だまっていこうや」

竹一が知恵をめぐらしてそう決断した。こうなるともう、だれひとり反対するものはなく、秘密で出かけることがかえってみんなをうきうきさせた。

「そうっとぬけだしてな、波止の上ぐらいからいっしょになろう」

正がそういうと、総帥格のマスノはいっそうこまかく頭をつかい、

「波止の上は、よろずやのばあやんに見つかるとうるさいから、藪のとこぐらいにしようや」

「それがえい。みんな、畑の道とおってぬけていこう」

めいめい、きゅうにいそがしくなった。

「ほんまに、走っていって、走ってもどらんかな」

念をおしたのはコトエである。みんなが走って帰ってゆくあとから、コトエは考え考え歩いた。どう考えても、だまってぬけだす工夫はないように思えた。