Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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にじゅうしのひとみ

二十四の瞳

壺井 栄

Read 二十四の瞳 (にじゅうしのひとみ) by 壺井 栄 (つぼいさかえ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 113,429 characters · 227 screens

Aozora Bunko

だからただひとり、森岡正のズックを見つけると、みんなの目はそこにそそがれてさわいだ。

「わァ タンコ、足が光りよる。ああばば(まぶしいこと)」

いわれるまえから正は気がひけていた。はいてこなければよかったと後悔するほど恥ずかしかった。女のほうでは小ツルがひとりだった。靴は、足をかわすたびにぶかぶかとぬげそうになった。小ツルはとうとうズックを手にもって、はだしになり、うらめしそうに靴をながめた。六年生の女の子がじぶんのぞうりと取りかえてやりながら、大声で、

「わあ、十文半じゃもん、わたしにでも大きいわ」

おそらく三年ほどもたせるつもりで買ってやったのだろうが、小ツルはもうこりこりしていた。ぞうりのほうがよっぽど歩きよかったのだ。ほっとしている小ツルに、松江は笑いかけ、

「な、コツやん、べんとが、まだ、ここで、ぬくいぬくい」

そういって腰のあたりをたたいてみせた。

「百合の花の弁当箱?」

小ツルが、いつ買ったのだ、という顔で問うのを、松江は気弱くうけ、

「ううん、それは明日お父つぁんが買うてきてくれるん」

そういってしまって、松江ははっとした。三日前のことを思いだしたのだ。