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にひゃくとおか
二百十日
Read 二百十日 (にひゃくとおか) by Natsume Sōseki (夏目 漱石) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 29,466 characters · 60 screens
「なにこれほど御馳走があればたくさんだ。――湯葉に、椎茸に、芋に、豆腐、いろいろあるじゃないか」
「いろいろある事はあるがね。ある事は君の商売道具まであるんだが――困ったな。昨日は饂飩ばかり食わせられる。きょうは湯葉に椎茸ばかりか。ああああ」
「君この芋を食って見たまえ。掘りたてですこぶる美味だ」
「すこぶる剛健な味がしやしないか――おい姉さん、肴は何もないのかい」
「あいにく何もござりまっせん」
「ござりまっせんは弱ったな。じゃ玉子があるだろう」
「玉子ならござりまっす」
「その玉子を半熟にして来てくれ」
「何に致します」
「半熟にするんだ」
「煮て参じますか」
「まあ煮るんだが、半分煮るんだ。半熟を知らないか」
「いいえ」
「知らない?」
「知りまっせん」
「どうも辟易だな」
「何でござりまっす」
「何でもいいから、玉子を持って御出。それから、おい、ちょっと待った。君ビールを飲むか」
「飲んでもいい」と圭さんは泰然たる返事をした。
「飲んでもいいか、それじゃ飲まなくってもいいんだ。――よすかね」
「よさなくっても好い。ともかくも少し飲もう」
「ともかくもか、ハハハ。君ほど、ともかくもの好きな男はないね。