Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ごがつのそら

五月の空

宮本 百合子

Read 五月の空 (ごがつのそら) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 5,361 characters · 12 screens

Aozora Bunko

雀は勿論 彼等は電車より厭な声を出す。

濁り、限られ、さも苦しそうに

あとから あとから

ケッケッケッケッ、コキーケッケッ

と叫ぶのだ。

風が吹くのに

空は碧いのに

あの声ばかりは 繩で縛られ身を※(「足+宛」、第3水準1-92-36)くようだ。

新らしい卵を産んだと云うのに

朗らかな歌も歌えない鳥類――

若しや――人間に飼われ 飛ぶ空もなく

卵はあとから盗まれるので

彼那 不快な心になったのか?

若しそうならば――……

ああ、あわれ あわれ

彼等は 野禽の昔さえ

憶い出さないか?

*

大空は からりと 透きとおり

風がそよぎ

薔薇は咲き匂う

今はよい 五月だ。

されど、又来る冬を思うと

私の心は、悲しくなる

子供に、夕方が来るように。

あの 寒さ

憐れな木の家の中で 凍る頭や指先

丸くちぢまり 呼もせず

すくんで暮す 朝夕を思うと

出来るなら 黄金の 壺に

此 初夏の輝きを 貯えたく思う。

胸に抱けば 暖かろう

蓋をすかし そっと覗けば 眼も耀こう

愉しい 我心の歓びが還り

愛が とけ

恐ろしい横眼が

真直な 正視に 微笑もう。

何処かに

此 赫きと色とを

掬いとる 小籠はないか

賢い ハンス・アンデルセン

ノーウェーで、