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ごかいのまど
五階の窓
甲賀 三郎
Read 五階の窓 (ごかいのまど) by 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,373 characters · 25 screens
あの当日、四時過ぎに棍棒を持って商会へ押しかけた形跡がある」
「まだ捕まらないんだね」
「うん、まだ捕まらない。職長の桝本の証言から逮捕に向かったが、もうずらかったあとなんだ。姉のところに立ち寄るに違いないというので、刑事が張り込んでいる。うちの社でも張り込ましてある」
「新聞なんて無駄なところへ金を使うものだな」
「無駄なことがあるものか。公衆の好奇心を満足させる点において、きみらが遊蕩に金を使うよりよっぽど有意義だ」
「怒ったね。まあいいや、それからまだあるのかい」
「あるさ、次は瀬川艶子のことさ」
「えっ、艶子のこと」
「艶子というといやに熱心だね。そうさ、彼女の身元を調べ上げたのだ」
「ふん」
「おや、冷淡に構えたな」
「早く話せよ」
「艶子の親というのは府下の旧家でね、大地主だったのだ。ところが、山っ気のあった男とみえて、いろいろのことに手を出してすっかり費ってしまったんだが、西村陽吉、死んだ社長だね、あの西村の仲介で土地を抵当に入れて銀行から金を借りたのだね。すると、西村がうまい具合にその土地を横領してしまったのだ」
「ふーん」
「もっともこれは瀬川側の言い分で実際のことは分からないが、とにかく瀬川は西村を相手に横領の告訴をして、数年間争ったのだ。