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にんぎょうのはなし
人形の話
折口 信夫
Read 人形の話 (にんぎょうのはなし) by 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,238 characters · 9 screens
奥州では、「いたこ」が「おしらさま」を使いにくる。これをおしらさまをあそばせる、といい、「おしらあそび」という。「あそばす」とは踊らすことである。この起源は、紀州の熊野の巫女と思われる。それが定住して一派を開いたのである。一体のこともあるが普通は二体である。「おしらさま」が自分の心を感じさせる。この場合、鈴のついているのは、鈴の鳴り方で判断することもある。また、「いたこ」が勝手に判断することもある。そういうときには現実に昔の雛遊びの様子がわかる。もちろん変化がある。われわれがみただけでも、「いたこ」が房主のように衣を着てやるのも、平服でやるのもある。
「いたこ」は条件的に目が悪い。つまり盲目が感じるのである。そのときに語るものは祭文というものである。祭文というても江戸、上方のとは異なり、つまり一種の叙事詩である。いまでは叙事詩を語ると、「おしらさま」が昔を思い出して踊りだすと考えているが、「おしらさま」自身が語るのである。「いたこ」はやっているうちに放心状態にはいる。「いたこ」はほとんど、託宣をしない。神がつくのではない。「いたこ」が神をつかっていると、「おしらさま」