Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

にんじんのせい

人蔘の精

田中 貢太郎

Read 人蔘の精 (にんじんのせい) by 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,205 characters · 7 screens

Aozora Bunko

背の高さは二丈あまりもありましょう、体一ぱいに赤い毛が生えて人とも虎とも判らない顔をしておりましたが、其の両眼は黄金の色をして光っておりました。張はとても急に逃げようとしても逃げられないから、其のうちに隙を見つけて逃げようと思いました。

張はしかたなしにじっとしておりました。怪物は片手をはずして、其の手で張の頭から体を撫でさすりながら歩きだしました。地べたの上に置いてくれるなら隙をこしらえて逃げ出すのに、持って往かれては其の隙がありません。其のうちに怪物の巣へ伴れて往かれて頭から啖われるに違いないと思いました。そう思うと恐ろしくて生きた心地が致しません。どうかして逃げ出す工風はないかと思っていましたが、とてもそんな隙はありませんでした。張には年老ったお父さんが一人あってそれを養うておりました。己がもし此の怪物に啖われてしまったなら、お父さんがどんなに困るだろうと思いました。張は己の命よりもお父さんのことが気になって、お父さんのために生きておりたかったのです。

怪物は人間が犬の子でも可愛がるように、やっぱり撫でたりさすったりしておりました。大きな岩石の聳えた谷の間を通ったり、林の中を抜けたりして大きな洞穴のある処へ往きました。