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かたきうちきょうだいがさ
仇討姉妹笠
国枝 史郎
Read 仇討姉妹笠 (かたきうちきょうだいがさ) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 80,178 characters · 159 screens
でもその勘兵衛は今日の夕方、その定席の裏木戸口で、浪速あやめのために独楽の紐で、締め殺されたはずである。それだのに生きてピンシャンしているとは? しかも田安家の奥家老、松浦頼母というような、大身の武士とこのように親しく、主従かのように振舞っているとは?
しかしそういうさまざまの疑問を、座敷牢の中へ残したまま、勘兵衛は陥穽の中へ消えてしまった。と、下っていた陥穽の蓋が、自ずと上へ刎ね上り、陥穽の口を閉ざしてしまった。
頼母が網行燈をひっさげて、座敷牢から立去った後は、闇と静寂ばかりが座敷牢を包み、人気は全く絶えてしまった。
それから少時の時が経った。
同じ廓内の一所に、奥家老松浦頼母の屋敷が、月夜に厳めしく立っていた。その屋敷の北の隅に、こんもりとした植込に囲まれ、主屋と別に建物が立っていた。
土蔵造りにされているのが、この建物を陰気にしている。
と、この建物の一つの部屋に、山岸主税が高手籠手に縛られ、柱の傍に引き据えられてい、その周囲に五人の覆面の武士が、刀を引き付けて警戒してい、その前に淀屋の独楽の一つを、膝の上へ載せた松浦頼母が、主税を睨みながら坐ってい、そうしてその横に浪人組の頭の、飛田林覚兵衛が眼を嘲笑わせ、これも大刀を膝の前へ引き付け、主税を眺めている光景を、薄暗い燭台の黄色い光が朦朧として照