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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Read 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 203,094 characters · 411 screens
)から手で戻るのも忌々しいので、帰りがけにこんな物を二三羽……。人に見られても恥かしいくらいだ。
おいよ それでも何かの獲物があれば結構でござります。幸いに天気は好うござりましたが、山風はなかなか冷えたでござりましょう。早く炉のそばへおいでなされませ。
(砧の音。おいよは桶を持ちて井戸ばたへ水を汲みに出る。弥三郎は縁に腰をかけて、藁の脛巾を解き、草鞋をぬぐ。奥よりお妙出づ。)
お妙 お帰りなされませ。
(お妙は先ず草鞋を片付け、更においよが汲んで来りし桶を受取りて、弥三郎の足を洗わせる。)
弥三郎 稽古の娘たちは帰ったか。
お妙 先刻もう帰りました。
弥三郎 あの娘たちも狼の噂に怯えていると見えるな。それも無理のないことだ。
(この話のうちに、弥三郎は足を洗い終りて、炉のまえに坐る。炉の火は次第に燃えあがる。お妙は井戸ばたへ水を捨てに行き、おいよは茶碗に湯をついで弥三郎にすすめる。)
おいよ すぐに御飯をあがりますか。
弥三郎 いや、待ってくれ。おれは又すぐに出なければならないのだ。
おいよ どこへお出でなさる……。
弥三郎 今そこで村の八蔵に出逢ったら、庄屋殿の宅に寄合があるから、直ぐに来てくれというのだ。