Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Read 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 203,094 characters · 411 screens

Aozora Bunko

「あなた方は当分御滞在でございますか。」と、その中で年長らしい為子が訊いた。

「さあ。まだどうなるか判りません。」と、本多は答えた。「しかし今頃はどこへ行っても混雑するでしょうから、まあ、ここに落ち着いていようかとも思っています。われわれはどの道、一週間ぐらいしか遊んでいることは出来ないんですから。」

「さようでございますか。」と、為子はほかの三人と顔を見あわせながら言った。「わたくし共も二週間ほど前からここへ来ているのでございますが、御覧の通り、この座敷はなんだか不用心でして、夜なんかは怖いようでございます。」

いくら第二流の温泉宿で、座敷代と米代と炭代と電燈代と夜具代だけを支払って、一種の自炊生活をしている女学生らに対して、この真夏にいい座敷を貸してくれる筈はなかった。かれらの占領している二間は下座敷のどん詰まりで、横手の空地には型ばかりの粗い竹垣を低く結いまわして、その裾には芒や葉鶏頭が少しばかり伸びていた。かれらが忌がっているのは、その竹垣の外に細い路があって、それが斜にうねって登って、本街道の往還へ出る坂路につながっていることであった。もし何者かがその坂路を降りて来て、さらに細い路を斜めにたどって来ると、あたかもかの竹垣の外へゆき着いて、さらに又ひと跨ぎすれば安々とこの座敷に入り込むことが出来る。