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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Read 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 203,094 characters · 411 screens
俳優もそれを得意とし、観客も亦それを喜んだらしいが、そう云うケレンが最早喜ばれないとすると、今後の怪談劇はよほどむずかしい事になる。鈴木泉三郎君の「生きている小平次」などは、近時発表された怪談劇の尤なるものであるが、最後に小平次の姿を見せた方が好いか悪いかは種々の議論のある処で、あの合理不合理とを別問題として、私は今も猶どちらが好いかの判断に迷っている。
いずれにしても、在来の怪談劇が現代の舞台の上からだんだんに消えてゆくのは判り切っている。そうして、それに代るべき新しい怪談劇が出現するかどうかと云うに、いかに文明が進歩しても、怪を好む人情の消え去らない以上、なんらかの形式に於いて怪談劇は依然繰り返されることであろう。しかも優れたる怪談劇は容易に出現しないであろう。
前にも云う通り、在来の怪談劇は早替りとか仕掛けとか云うことを主としている。それは勿論俳優本位から考え出されたものであるが、一般の観客も亦、幽霊その物の姿を見なければ得心しなかったらしい。演劇にかぎらず、在来の小説などに描かれている幽霊も、大抵はその姿をありありと現わしているようであるが、小説は格別、今後の舞台の上に幽霊の姿をあらわす事はむずかしい。