Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Read 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 203,094 characters · 411 screens
玉琴はこれを救わんとして、おなじく庭にまろび落つ。玉虫は舞いおわりて、こころよげにみおろしつ。)
玉虫 与五郎、玉琴、苦しいか。
与五郎 今かの酒を飲むとひとしく、俄かに身神悩乱して……ふたりが二人ながら苦痛に堪えぬは……。
玉琴 女夫が祝言のさかずきは……命をちぢむる毒酒なりしか。
玉虫 ひとに洩れては願望のさまたげと、現在の妹にも秘し隠したれば、おなじ家のうちに住みながら、玉琴もまだ知るまい。西海に沈みたる平家のうらみを報いんために、神壇を築いてひそかに源氏を呪い、神酒を供えてもろもろの悪鬼羅刹を祭る。そち達ふたりが飲んだる酒は、即ちそれじゃ。
玉琴 して、その神酒が毒酒とは……。
玉虫 平家蟹の甲を裂いて、その肉を酒にひたし、神への贄にささげしものぞ。
玉琴 ええ。
玉虫 男はもとより源氏方、女は肉身の姉を見すてて、かたきに心を通わす奴、呪いの奇特をためすには屈竟と、最前神酒をとりし時、わが呪いの首尾よく成就するならば、この酒変じて毒となり、まのあたりに二人の命を奪えと、ひそかに念じてすすめたるに、酒は果して毒となった。はははははは。
与五郎 源氏調伏の奇特をためさん為に、われわれに毒酒を盛りしか……。