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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Read 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 203,094 characters · 411 screens
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柳 高田さん、いらっしゃい。
高田 どうですか、気分は……。
柳 なに、どこが悪いと云うわけでもないんですが、なんだか力が抜けたようで……。
高田 御もっともです。それに葬式や何かの疲れもありますからね。まあ、なるたけ体を楽にして、休んでおいでなさい。
柳 じゃあ、御免なさい。(行きかけて耳を傾ける。)雨が又降り出したのか。ああ、さびしい晩だねえ。(力なげに寝室に入る。)
李中行 (小声で。)あの通りですからな。
高田 困りますね。阿母さんも不断はなかなか元気が好かったんだが……。
李中行 二口目には亭主に食ってかかって、始末に負えない奴でしたが、あの一件からまるで気抜けがしたようになって仕舞って……。もう少ししっかりして呉れないと困ります。
高田 そうですねえ。(云いかけて、これも耳を傾ける。)さっきから話にまぎれて気が注かなかったが、阿母さんのいう通り、いつの間にか雨が降り出して来ましたね。
李中行 成程、又ふり出して来たようだ。此頃の秋のくせで仕方がない。
(雨の音。虫の声。それを聴くとも無しに耳を傾けて、二人はしばらく無言。下のかたより第一の男、三十余歳、笠をかぶりて出て、入口の扉を叩く。