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ろくがつ
六月
相馬 泰三
Read 六月 (ろくがつ) by 相馬 泰三 (そうまたいぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 18,673 characters · 37 screens
――僕がこうして君たちと一緒になっていることが、僕自身にとってどれほど忍びがたい屈辱であるか)
SとMとAと、それに二面のT法学士も加わって、四人はしきりにいろいろのカフエの名を並べて、あれかこれかと今晩の祝盃を挙げる席場の選定をしていた。
曽根はまた独りで腹の中で、(祝盃をあげるなら君たちだけであげてくれたまえ。僕は多分、身体の工合がよくないからはなはだすまないが……なんて嘘をついて途中から逃げ出すかも知れないよ)こんなことを言っていた。
第一版の締切時間が迫って来たので、いずれも自分の卓へ帰って行った。
その日はちょうど、政治界のちょっとした名士が病死したのでその人の閲歴やら、逸話やらで、不時の記事が多くて割に忙しかった。それに二面の方では支那問題、バルカン問題、米国の排日問題やらで、電報、通信、電話などがしっきりなしにやって来てごたごたしていた。
編輯長の卓では、主筆、編輯長、一面主任、二面主任、H代議士などいう連中が明日の社説のことで互いに意見を述べ合っていた。
原稿を工場へ持って行くボーイ、ゲラ刷を工場から持って来るボーイなどがパタパタと上草履を鳴らして小走りして出たり入ったりした。