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かちうんまけうん
勝ち運負け運
佐々木 邦
Read 勝ち運負け運 (かちうんまけうん) by 佐々木 邦 (ささきくに) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 119,262 characters · 243 screens
「年寄がないんですか? その山の手の烏は」
「初めから舅姑のないところって御希望ですから」
「はゝあ」
「この節はレッテル専門ね」
「お母さんは豪いことを知っているんですな」
「レッテルさえ好ければ、どんな註文でも通るのよ。年寄がなくてお金持で秀才で風采が好くて親切でと随分得手勝手ですわ」
「成程」
「こゝだけのお話ですけれど、あんな人を貰う家は災難ですよ」
とお母さんは子の心親知らずだった。僕は完全に諦めた。
山の手の烏は毎日曜に豊子さんのところへ遊びに来た。僕は時折往来で出会った。豊子さんと二人で活動でも見に行くのだろう。手を引かないばかりにしている。僕は格別恩顧を被った覚えもないから、お辞儀をする責任を感じない。豊子さんは僕を睨んで行く。挨拶は煩いという意味らしい。それだけなら宜いけれど、或は烏に向って、
「今あすこで行き会った方は私に失恋して悲観しているのよ」
なぞと種明しをしないものでもない。しかし家で会うと、昔通りに話してくれた。不見識だが、僕は差当りそれを慰めとした。少し気の毒に思っていると見えて、
「日出男さん、あなただって御勉強なされば宜いのよ。