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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 290,735 characters · 566 screens
いう。十二世紀にスペインのユダヤ人アルフォンススが書いた『教訓編』に騾が驢を父とするを恥じ隠し外祖父が壮馬たるに誇ると載す。昨今日本に多い不義にして富みかつ貴き輩の子が父の事を語るを慙ずるのあまり、その母は大名の落胤公家の余だったなど系図に誇るも似た事だ。しかしそんな者の母は多くは泥水稼ぎを経た女故、騾の母たる牝馬が絶えて売笑した事なきに雲泥劣る。十三世紀の末イタリアで出た『百昔話』九一に騾が狼に自分の名は後足の蹄に書かれいるというと、狼それを読まんとする際その額を強くってこれを殺し、傍観しいた狐がこの通り人も字を知らば賢くないと言うとある。〈人生字を識るこれ憂苦の初め〉だ。さて字よりも一層憂苦の初めなのが色で、ベン・シラも女は罪業の初めで女故人間皆死ぬと述べた。沖縄首里の人末吉安恭君二月号に載せた予の不毛婦女に関する説を読んで来示に、かの辺りで不毛をナンドルー(滑らか)と俗称し、少し洒落ては那覇墓と唱う、琉球の墓は女根に象る、普通その上と周縁に松やうず樹芒等を栽え茂らす、しかるに那覇近所の墓に限り多くは樹芒少なく不毛故の名らしい。墓を陰相に象るは本に還るを意味するならんとあった。