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じゅうにしこう
十二支考(上)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(上)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 290,735 characters · 566 screens
三三一)てふ支那説に近い。あるいは上世日本でも地方と部族により、馬肉を食いもし神にも献じたものか。琉球では維新前も牛馬猫の肉を魚店で売り、婦女殊に馬肉を好み焼き食うたが、本土の人これを見れば大いに慙じたと(『中陵漫録』八)。蒙古人古来馬肉を食い、殊にその腐肉を嗜み、また馬乳で酒を作った事は支那人のほかにルブルキスやマルコ・ポロやプルシャワルスキ等の紀行に詳し。
ブラウンの『俗説弁惑』三巻二十五章にいわく、プリニウスとガレヌスは痛く馬肉を貶しまた馬血を大毒と言ったが、韃靼人他に勝れて馬肉を食い、馬血をも飲むでないか、それは北方寒地の人体にのみ無害故しかりと言わんか。ヘロドトスが言った通り、ペルシアは暖国だがその人誕生祝いに馬肉を饗し、また全で馬、驢、駱駝を烹用いて、ギリシア人が、かほどの美饌を知らぬを愍んだから、どの国で馬肉を食ったって構わぬはずだと。メンツェルの『独逸史』巻の一にゲルマンの僧は、馬を牲にしその肉を食ったから、馬肉喫わぬ者をキリスト教、これを食うはキ教外の者と識別した、古スウェーデンでもキリスト教を奉ずる王に強いて馬肉を食わせ、その脱教の徴としたという。