Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,906 characters · 495 screens
『虎経』に猴を厩に畜えば馬のために悪を避け、疥癬を去るとある。悪を避けは西洋でいう邪視を避くる事でこれが一番確説らしい。アラビア人など駿馬が悪鬼や人の羨み見る眼毒に中らるるを恐るる事甚だしく、種々の物を佩びしめてこれを避く。和漢とも本邪視を避くるため猴を厩に置き、馬を睨むものの眼毒を種々走り廻る猿の方へ転じて力抜けせしめる企みだったのだ。また疥癬を去るとあるより推すに、馬の毛に付いた虫や卵を猴が取って馬を安んずるのかも知れぬ。烟管を掃除したり小児の頭髪を探ったりよくする。『新増犬筑波集』に「秘蔵の花の枝をこそ折れ」「引き寄せてつぶり春風我息子」「虱見るまねするは壬生猿」。壬生猿何の義か知らぬが、猴同士虱を捜り合うは毎度見及ぶ。しかるに知人アッケルマンの『ポピュラー・ファラシース』にいわく、ロンドン動物園書記ミッチェル博士がかの園の案内記に書いたは、世人一汎に想うと反対に、猴が蚤に咋わるる事極めて稀だ。そは猴ども互いにしばしば毛を探り合うからだが、それにしても猴が毛を探って何か取り食うは多くは蚤でなくて、時々皮膚の細孔から出る鹹き排出物の細塊であると。