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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,906 characters · 495 screens
ただし虱の事を書いていないは物足らぬ。この話で思い出したは享保二十年板其碩の『渡世身持談義』五、有徳上人の語に「しからばあまねく情知りの太夫と名を顕わさんがために身上りしての間夫狂いとや、さもあらば親方も遣り手も商い事の方便と合点して、強ちに間夫をせき客の吟味はせまじき事なるに、様々の折檻を加うるはこれいかに、その上三ヶ津を始め諸国の色里に深間の男と廓を去り、また浮名立ててもその間夫の事思い切らぬ故に、年季の中にまた遠国の色里へ売りてやられ、あるいは廓より茶屋風呂屋の猿と変じて垢を掻いて名を流す女郎あり、これ皆町の息子親の呼んで当てがう女房を嫌い、傾城に泥みて勘当受け、跡職を得取らずして紙子一重の境界となる類い、我身知らずの性悪という者ならずや」、風呂屋の猿とは『嬉遊笑覧』九に、『一代女』五、一夜を銀六匁にて呼子鳥、これ伝受女なり、覚束なくて尋ねけるに、風呂者を猿というなるべし。暮方より人に呼ばれける(風呂屋女に仇名を付けて猿というは垢をかくという意となり)とあり。正徳元年板其碩の『傾城禁短気』に「この津の橋々に隠れなき名題の呂州(風呂屋女を指す)猿女上人」