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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,906 characters · 495 screens
この狂歌は通臂の意を詠んだのだ。
『本草綱目』に、〈猿初生皆黒し、而して雌は老に至って毛色転じて黄と為る、その勢を潰し去れば、すなわち雄を転じて雌と為る、ついに黒者と交わりて孕む〉。これは瓊州猿の雌を飼いしに成熟期に及び黒から灰茶色に変わった(『大英百科全書』十一)というから推すと、最初雌雄ともに黒いが後に雌が変色するより変成女子と信じたり、『列子』、〈※変じて※(「けものへん+爰」、第3水準1-87-78)と為る〉、『荘子』、〈狙※(「けものへん+爰」、第3水準1-87-78)を以て雌と為る〉と雌雄を異種に見立てたのだ。猿は臂長く膂力に富み樹枝を揺って強く弾かせ飛び廻る。学者これを鳥中の燕に比したほど軽捷で、『呂覧』に養由基矢を放たざるに、※(「けものへん+爰」、第3水準1-87-78)、樹を擁して号び、『呉越春秋』に越処女が杖を挙げて白※(「けものへん+爰」、第3水準1-87-78)に打ち中てたなどあるは、その妙技なみ大抵の事でない絶好の叙述と知れ、予も親しく聴いたが、猿が飛ぶ時ホーホーと叫ぶ声は大したもので耳が病み出す。寂しい処で通宵これを聴く趣はとてもわが邦の猴鳴の及ぶところでなく、〈峡中猿鳴く至って清し、諸山谷その響きを伝え、冷々として絶えず、行者これを歌いて曰く、巴東三峡猿鳴く悲し、猿鳴く三声涙