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じゅうにしこう
十二支考(下)〔全2冊〕
南方 熊楠
Read 十二支考(下)〔全2冊〕 (じゅうにしこう) by 南方 熊楠 (みなかたくまぐす) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 251,906 characters · 495 screens
それすら本性不実で悪戯を好み、しばしば人に咬み付く故十分愛玩するに勝えず。されどその心性人に類せる点多きは真に驚嘆すべし、ダーウィンは猴の情誼厚きを讃め、あるアメリカの猴がその子を苦しむる蠅を払うに苦辛し、手長猿が水流中に子の顔を洗うを例示し、北アフリカの某々種の猴どもの牝はその子を喪うごとに必ず憂死し、猴の孤児は他の牝牡の猴必ずこれを養い取って愛撫すといった。ジョンソン説に、手長猿は同類甚だ相愛すれど一たび死ねば構わぬに反し、氏が銃殺した猩々の屍を他の猩々どもが運び去ったと。ある人『ネーチュル』雑誌へ出せしは、その園中に放ち飼える手長猿の一牡児、木から堕ちて腕節外れると、他の猿一同厚く世話焼く、特に篤志だったはその児に何の縁なき一老牝で、毎日くれた甘蕉実を自ら食わずにまず病猿に薦めた。一つの猿が怖れ、痛み、もしくは憂いて号ぶ時は一同走り往きてこれを抱え慰めたと。キャプテーン・クローかつて航海せし船に種も大きさも異なる数猴を積む、中に一種小さくて温良に、人に愛さるるも附け上がらず好く嬉戯するものありて、衆猴これを一家の秘蔵子のごとく愛したが、一朝この小猴病み付いてより衆猴以前に倍してこれを愛し、競うてこれを慰むるに力め、各旨い物を竊んで少しも自ら味わわず病猴に与え、また徐かにこれを抱いて自分らの胸に擁え