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なんぼく
南北
横光 利一
Read 南北 (なんぼく) by 横光 利一 (よこみつりいち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,591 characters · 40 screens
」
「そんならなぜわし所へ連れて来た?」
「伯母やんみたいなしぶったれや、あんな奴の世話、いっぺん位しといてもええぞ。」
「お前って、※(「睹のつくり/火」、第3水準1-87-52)ても焼いても食えん奴やぞ! 業ざらし。」
「また喧嘩してるわ。もう止さえせ。」とお留は、帯を持って出て来て云った。
「こんなしぶったれ婆と、誰が喧嘩するか。」と秋三は笑って見せた。
「お前、黙っていやいて云うのにな!」
「こいつ、どうしたらええ奴やろ!」とお霜は秋三を睥んで云った。
「姉やん見やいせ。良え光沢やろが。汚点が惜しいことにちょっと附いてるのでな。」
お霜は差し出された丸帯を見向きもせず、
「いまに思いしらせてやるわ、覚えてよ。」とまた云った。
秋三は「帰ね帰ね」と云うとそのまま奥庭の方へ行きかけた。
「何を云うのや! 姉やん、あんな奴に相手にならんと、まア一寸此の帯を見やいせな。」
「そんなもの、どうでもええわ。それよか、安次のことをきりつけんと私とこが困るわ。」
「安次ならうちへ連れて来てたもれ。なア、手にとって見てみやえな。中古でも夜さりゃと新に買うたように見えようがな。」
「そんなら安次を連れて来るぜ。