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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
「まあ、そう。ええ、わかりました、わかりました。おもしろいのね」
すぐと了解がついたものか、きゃっきゃっといって、お糸坊は丸くなりながら表へ駆けだしたようでしたが、四半ときばかりもたつと、これは意外! ふるえながら青ざめている同じくらいのいじらしい小娘をもうひとりそのうしろに伴って、てがらをほこり顔に、にこにこしながらかえってまいりましたものでしたから、ひと目見るやいなや、あッとばかり伝六が目をさらにしてしまいました。
「ね、だんな! ね、だんな! こ、こりゃ、ゆうべときょう、だんなをたずねてきたあの小娘じゃござんせんか」
すると、右門が涼しい顔をしていったものです。
「そうさ。まさに判然とあの小娘だよ。どうだい、おまえの胸も、ちっとはすっとしたろう」
「しました、しました。富士の風穴へでもへえったようですよ。さすがはだんなだけあって、やることにそつがねえや。なるほどな。じゃ、なんですね、きのうからのこの小娘のそぶりをお聞きなすって、ひと事件あるなっとおにらみなすったんですね」
「あたりめえよ。わざわざ右門を目ざしてたずねてきたのもおかしいが、二度もたずねて二度とも帰ってしまったなあ、恥ずかしいよりもよくよくでかい事件なんで、訴えることがおっかねえんだなとにらみがついたから、きょうもてっきりまたたずねてくると思っ