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うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
おそらく、石川殿と秘めごとがござりましょうな」
と、百合江と名のったそれなる少女は、胸中を射ぬかれたごとくに、ぱっと面を染めながら口ごもったので、のがさずに右門が追いかけました。
「察するところ、それあるために、杉弥どのめしとられたと聞いて、てまえに掛け合うためにお越しでござりましょうが、むだなお隠しなさりますれば、いとしいおかたの生死にもかかわる大事でござるぞ。まだ人目を忍ばねばならぬお仲なればお仲のように、拙者が誓ってお力となってしんぜようから、包まずにお明かしめされよ」
しかし、なお少女は言いためらっていましたが、ようやくにして思い決しましたか、案のとおり秘めごとを打ち明けました。
「よく納得が参りました。お恥ずかしい仕儀にござりまするが、お目がねどおり、まだ人目を忍ばねばならぬ仲にござります」
「いつごろからでござった」
「つい十日ほどまえのふとした夜さに、はじめてあのかたさまから熱いお心のうちを承りましたので、末始終の恋をお誓いしたのでござります」
「そのとき、だれぞに見とがめられたお記憶はござらぬか」
「いいえ、少しも……」
「では、どなたかほかの者で、まえからお身を慕っていた者にお心当たりはござらぬか」