Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うもんとりものちょう
右門捕物帖(一)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens
知ってのとおり、なにごとによらず、人に術を施すということは、術者自身が心気を一つにしなけんきゃならぬのでな。それを破る手段も、けっきょくはその術者自身の心気統一をじゃますればいいんじゃ。昼間ならば突然大きな音をたてるとかな、ないしはまた夜の場合ならば急にちかりと明るい光を見せるとかすれば、たいてい破れるものじゃ」
立て板に水を流すごとく、すらすらと催眠破りの秘術を伝授してくれましたので、もはや右門は千人力でした。もよりの自身番へ立ち寄って、特別あかりの強い龕燈を一つ借りうけると、ただちに駕籠を飛ばして、ふたたび柳原の土手わきまで引き返していきました。日にしたらちょうど十三日、普通ならば十三夜の月が、今ごろはまぶしいほどに中天高く上っているべきはずですが、おりからの曇り空は、かえって人さらいの下手人をおぴき出すにはおあつらえ向きのおぼろやみです。
「伝六、どうやらおれの芽が吹いて出そうだぞ」
息をころして遠くからおでん屋台の張り番をしていた伝六のそばへうずくまると、右門は小声でささやきながら、いまかいまかと刻限のふけるのを待ちました。
と、案の定、もうつじ君たちの群れも姿を消してしまった九つ近い真夜中どき――おでん屋は店をしまって車を引きながら、河岸を土手に沿って、みくら橋のほうへやって参りました。