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うもんとりものちょう

右門捕物帖(一)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(一) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 220,431 characters · 428 screens

Aozora Bunko

面と女に向かうと、うれしいことに、からもういくじのなくなるたちでしたので、まことにどうも笑止千万、すっかり伝六はこちこちになってしまって、あわてながらひざ小僧をかき合わせると、しかられたかめの子のように、そこへちまちまとかしこまってしまいました。同時に、右門も隣のへやから気がついたのですが、さすが右門は右門だけのことがあったものでしたから、べつに顔の色もかえず、静かに問いかけました。

「どうやら、ここはどなたかのご茶寮のようにも思われまするが、あなたさまは?」

「はっ……あの……わたくしは……」

いいかけましたが、まこと陰陽の摂理というものはあやかなものとみえて、小娘ながらも右門のごとき天下執心の美丈夫をかいま見ては、ちいさな胸もおののかずにはおかれなかったのでしたか、伝六を見たときはちっとも異状を現わさなかったその顔に、ぱっといちめんのもみじを散らして、ことばもとぎれがちにうつむいてしまいましたので、右門は少し微笑をみせながら、はじらいを救ってやるようにやわらかく尋ねました。

「わかりました、わかりました。なんでござりまするな。伊豆様からのおいいつけで、お越しなされたのでござりますな」