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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens
――見ると、なるほど、ものものしい看板があるのです。
「ウフフ、おどしているぜ。左京流小太刀ならびに山住流含み針指南所とふた道かけたこの看板がすさまじいじゃねえかよ。では、ひとつお嬢さまを拝見するかね」
取り次ぎも受けずにずいと上がっていくと、さっそくに目あての菊代なる女の姿を捜し求めながら、奥座敷にでも通るかと思いのほかに、むっつり黙々、ぬうと押し入ったところは、門人どもがけいこさいちゅうの道場大広間でした。
「なんじゃ! なんじゃ!」
「おかしなやつが来よったな!」
「案内も請わずにぬうとはいって、何用じゃ!」
同時に左右八方からけしきばんで門人たちが言い迫ったのを、
「騒ぐな。見物じゃ。諸公のお手並み拝見に参ったのよ」
うち笑みながら静かにいって、しきりに門弟たちの首実検をしていましたが、そのとき計らずも名人の注意を強くひいたものは、わき目もふらず一心不乱に弟弟子たちへけいこをつけている師範代らしい一人です。しかも、これが他の門弟たちとは群を抜いて、腕もたしか、わざもみごと、眉目もきわだってひいでた若者でした。いや、それと知ったせつなです。
「源之丞さま! 源之丞さま! な! もし! 源之丞さま……!」