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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 241,558 characters · 480 screens
のです。しかも、声は三人! 女と、男と、そして女と、まさしく三人なのです。
「おや! ――。ちょっと変だな」
「ね!」
「おまえにも聞こえるかい?」
「ちぇッ、聞こえるからこそ、不思議に思って首をかしげているじゃござんせんか」
「とするてえと、またこれは眼ちげえかな」
とにかくとばかりはいっていくと、さらに不思議! 泣いていたのは、お多根に兄の敬之丞に、そのうえ、あの春菜なのです。
「ま! おまえはここに! おまえはここにおじゃりましたか!」
ご後室のおどろきも大きかったが、名人のおどろきはさらに数倍でした。
「これはまた、いったいどうしたのでござります!」
鋭くききとがめたのを、ご後室が奪っていいました。
「お多根! おいい! おいい! 何もかもいっておしまい! おまえに疑いがかかってじゃ! おこりませぬ! おこりませぬ! おまえのことならけっしておこりませぬゆえ、もう何もかもいっておしまい!」
「でも……でも……」
「いえぬとおいいか! あの預かり雛がなくば、かわいい春菜の身に大事がふりかかります。おまえがあの男雛を盗んだとのお疑いじゃ。どこぞへ隠したであろう。