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うもんとりものちょう
右門捕物帖(二)
佐々木 味津三
Read 右門捕物帖(二) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 221,941 characters · 435 screens
三千両を持ち出したのもあれでござりまするか」
「あたりめえさ、今どろを吐かせてやるから、はよう連れてこい」
ずばりと断定を下しましたので、めんくらいながら勘兵衛が走っていったのはいうまでもないことでしたが、あいきょう者がまたじつにおどろいたとみえて、目をぱちくりさせながらお公卿さまにいいました。
「な、辰、おっかねえだんなの眼力じゃねえかい。おら、一年もこっちくっついているが、だんなながらちっと今夜は気味がわるくなったよ。な、おい、どうだろうな、このあんべいじゃ、おれとおめえが、ゆうべだんなにないしょで吹き矢の帰り道に、ふぐじるを食べたことも、ひょっとするともう眼がついているかもしれねえから、いっそ思いきって白状しちまうか。おら、隠しておくのがおっかなくなったよ」
「ああ、いえよ、いえよ。割勘にしたことも隠さずにいっておきなよ」
「じゃ、いうからな。――ね、だんな! ちょいと、だんな!」
「バカ」
「えッ」
「子どもみてえなこというな」
「だっても、隠しておくとおっかねえからね」
「かわいいやつらすぎて、あいそがつきらあ。みろ! 次郎松が来たじゃねえか」
眠そうな目をしてそこに次郎松少年が勘兵衛に連れられながらやって参りましたものでしたから、名人がいかなる責め方をするかと思われましたが、じつにこういうところが右門流でした