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うもんとりものちょう

右門捕物帖(四)

佐々木 味津三

Read 右門捕物帖(四) (うもんとりものちょう) by 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 167,105 characters · 337 screens

Aozora Bunko

そういうご返事なら、たってききますまいよ。お名はなんていいますえ」

「知らねえや!」

「なるほど、名まえも知らねえ屋どのとおっしゃるか。よしよし、これだけわかりゃたくさんだ。伝六、河岸を変えようぜ。忙しいんだから、鳴らずについてきなよ」

しかし、鳴るなといったとて、これが鳴らずにいられるわけのものではない。たちまち、その口がとがりました。

「バカにしてらあ。あんまりむだをするもんじゃねえですよ」

「むだに見えるか」

「むだじゃござんせんか。あんな月代野郎にけんつくをかまされて、すごすごと引き揚げるくれえなら、わざわざ寄り道するがまでのことはねえんだ。お駒を煎じ直すなら煎じ直すように、早く締めあげりゃいいんですよ」

「そのお駒を締めあげるために、むだ石を打っているじゃねえか。右門流のむだ石捨て石は、十手さき二十手さきへいって生きてくるんだ。文句をいう暇があったら、はええところお駒のねぐらでもかぎつけな」

捜していったその伝六が、はてな、というように首をかしげました。――音蔵の住まいからはわずかに三町、六十日間も牢につながれておったら、さぞやるす宅も荒れすさんでいるだろうと思っていたのに、岩吉店の中ほどで見つけたお駒のその住まいは、表付き、中のぐあい、うって変わってこざっぱりと、なにもかも整っているのです。