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ごうがい
号外・少年の悲哀 他六編
国木田 独歩
Read 号外・少年の悲哀 他六編 (ごうがい) by 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,066 characters · 25 screens
「しかし樋口には何よりこの紐がうれしいのだろう、かいでみたまえ、どんなにおいがするか」
「ばか言え、樋口じゃあるまいし」と、上田の声が少し高かったので、鸚鵡が一声高く「樋口さん」と叫びました。
「このちくしょう?」と鷹見がうなるように言いましたが、鸚鵡はいっさい平気で、
「お玉さん」
「人をばかにしている!」と上田が目を丸くしますと、「お玉さん、……樋口さん……お玉さん……樋口さん……」と響き渡る高い調子で鸚鵡は続けざま叫び出したので、政法も木村も私もあっけに取られていますと、駆けこんで来たのが四郎という十五になるこの家の子です。
「鸚鵡をくださいって」と、かごを取って去ってしまいました。この四郎さんは私と仲よしで、近いうちに裏の田んぼで雁をつる約束がしてあったのです、ところがその晩、おッ母アと樋口は某坂の町に買い物があるとて出てゆき、政法の二人は校堂でやる生徒仲間の演説会にゆき、木村は祈祷会にゆき、家に残ったのは、下女代わりに来ている親類の娘と、四郎と私だけで、すこぶるさびしくなりましたから、雁つりの実行に取りかかりました。
かねて四郎と二人で用意しておいた――すなわち田溝で捕えておいたどじょうを鉤につけて、家を西へ出るとすぐある田のここかしこにまきました。