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めいじんちょうじ
名人長二
三遊亭 円朝
Read 名人長二 (めいじんちょうじ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 67,631 characters · 134 screens
という話を聞きながら、婆さんは長二の顔をしげ/\と見詰めておりました。
八
婆「はてね……お前さんの母様というは江戸者かねえ」
長「何故だえ」
婆「些と思い出した事があるからねえ」
長「フム、己の親は江戸者じゃアねえが、何処の田舎だか己ア知らねえ、何でも己が五歳の時田舎から出て、神田の三河町へ荒物店を出すと間もなく、寛政九年の二月だと聞いているが、其の時の火事に全焼になって、其の暮に父さんが死んだから、お母が貧乏の中で丹誠して、己が十歳になるまで育ってくれたから、職を覚えてお母に安心させようと思って、清兵衞親方という指物師の弟子になったのだ」
婆「左様かねえ、それじゃア若しかお前さんの母様はおさなさんと云わねいかねえ」
長「あゝ左様だ、おさなと云ったよ」
婆「父様はえ」
長「父さんは長左衛門さ」
婆「アレエ魂消たねえ、お前さん……長左衛門殿の拾児の二助どんけえ」
長「何だと己が拾児だと、何ういうわけでお前そんな事を」
婆「知らなくってねえ、此の土地の棄児だものを」
長「そんなら己は此の湯河原へ棄てられた者だというのかえ」