Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
よっかのあやめ
四日のあやめ
山本 周五郎
Read 四日のあやめ (よっかのあやめ) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 19,200 characters · 38 screens
「そのとおりだ」と主税介が頷いた。
「しかも五大はゆかなかった、みんなが命を賭して斬りむすんでいるとき、五大主税介ひとりは家にいた、みんなが傷ついたり斬り死にをしているとき、五大主税介ひとりは安閑と家にいたのだ」と重三郎は云った、「おれには面目というものがある、おれは世間に対しても、そういう人間に妹を遣っておくわけにはいかない、今日限り千世を離別してもらうぞ」
襖をあけて、「待って下さい」と云いながら、千世がこちらへ辷り込んで来た。
「来てはいけない」と主税介が云った。
「出るな」と重三郎がどなった、「おまえの知ったことではない、さがっておれ」
千世は兄の前へ来て坐った。顔は蒼白く硬ばって、眼だけが燃えるように光っていた。彼女はその眼で兄をみつめ、みじめにおののく声で云った。
「お兄さまあやまって下さい、お兄さまは御存じないのです、どうか主人にすぐあやまって下さい」
「なにをあやまれというんだ」
「云うな千世」と主税介が云った、「それを云うと勘弁しないぞ」
「はい、もう堪忍して頂こうとは存じません、兄の申すとおり実家へ戻ります」と千世は云った、「戻りますけれど、そのまえに本当のことを云わせて頂きます、お兄さま、――あの朝、深松さまの知らせを聞いたのはわたくしです、主人はなにも知りません、わたくしが聞いて、そのまま取次が