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ちていせんしゃのかいじん
地底戦車の怪人
海野 十三
Read 地底戦車の怪人 (ちていせんしゃのかいじん) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 55,000 characters · 111 screens
静かな海
はげしいいきおいで、何千メートルという深い海底へおちていく地底戦車の中で、パイ軍曹とピート一等兵とは車内を、ころげまわったり、ぶつかったりして、たいへんな目にあった。床だと思っていると、それが、ぐらっとうごくと、天井になったり、そうかと思うと、天井が、横たおしになって、かべになったり、二人は身のおきどころもなかった。いや、身のおきどころがないなどという生やさしいことではなく、からだとからだが、いやというほどぶつかり、そうかと思うと、鉄壁に、がーんと叩きつけられ、戦車が海底にやっと達したときには、とうとう二人とも気をうしなってしまった。
だが、この地底戦車は、よほどしっかりできているものと見え、万事異常はなく、車内の電灯も、ちゃんと点いていて、エンジンのうえに、長くなって倒れているパイ軍曹とピート一等兵の二人を、気の毒そうに照らしていた。
ここで、二人が、そのまま息をひきとってしまえば、もう『地底戦車の怪人』も、ここでおしまいになるはずである。これから後が、なかなか長くて面白い冒険談となるのである。だから、読者諸君は、パイ軍曹とピート一等兵とがたいへん好都合にも、間もなく息をふきかえしたことに気がつかれるだろう。