Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
とうじょうのきじゅつし
塔上の奇術師/鉄人Q
江戸川 乱歩
Read 塔上の奇術師/鉄人Q (とうじょうのきじゅつし) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.
N3 · intermediate · modern kanji and kana · 151,766 characters · 303 screens
やがて自動車は、さびしい原っぱをとおって、きみょうなたてものの前につきました。一郎さんは、目かくしされているのでわかりませんが、それは、いつかの夕がた、淡谷スミ子ちゃんたちが、こうもり男を見た、あの時計塔のある怪屋でした。
やっぱりそうでした。こうもり男は四十面相ですから、一郎さんは、四十面相のすみかへつれてこられたのです。自動車からおろされ、石のだんをのぼって、たてものの中へつれこまれました。ぷうんとかびのにおいのする、ひえびえとした、いんきなたてものです。
廊下を、ぐるぐるまわって、ひとつの部屋におしいれられました。
そこで、やっと目かくしをとってくれたので、一郎さんは、いそいであたりを見まわしました。
あれはてた洋室でした。むかしはりっぱな部屋だったのでしょうが、かべ紙はいろあせて、ところどころやぶけていますし、床はじゅうたんもなく、ほこりのつもった板ばりで、小さな窓には、さびた鉄ごうしがはまっています。
一方に壁だんろがありますが、その中は、くものすだらけで、だんろ棚の上の壁に、はめこみになっている大きな鏡は、水銀がまだらにはげたうえ、いちめんに、大きくひびわれています。