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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Read 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,314 characters · 398 screens

Aozora Bunko

「うむ――」

芹沢も近藤も一座も僅かに頷いて土方を見る。

「これより見え隠れに二人が駕籠の跡を追い、高橋が乗物の離れたる折を見て清川を血祭りにする、もしその折を得ずば二人もろとも」

「よし、それも一策じゃ、しからばこの仕事の采配を土方氏、貴殿に願おうか」

芹沢にいわれて土方歳三は言下に引受け、

「承知致した、貴殿ならびに近藤氏はこれに待ち給え、仕留めて参る」

「総勢十三人、よいか」

「よし」

このとき近藤勇は、ふと一座の一隅を振返って、

「吉田、吉田氏」

少し酔うてさきほどから眠っていたらしい一人を呼びかけて、押しゆすると、むっくり起きてまばゆき眼を見開いたのは机竜之助でした。

机竜之助は近藤、土方らとは同国のよしみで、しばらく新徴組に姿を隠しております。呼び醒されて、

「眠り過ごした」

刀を取って一座の方へ進み寄ると、土方歳三が、

「吉田氏、いずれもかくの通り用意が整うた」

「ほう、拙者も仕度を致そう」

竜之助は、身ごしらえ、足ごしらえ、黒い頭巾を取って被ろうとしながら、

「相手は清川一人か」

「さいぜんも申す通り、別に苦手が一人」

「苦手とは?」

「槍の高橋伊勢守が同行」