Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

Read 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,314 characters · 398 screens

Aozora Bunko

三

「うむ」

「お家は相当の大家なそうにござりますけれど、盗賊に入られましたのが不運のもとで……お武家様、このごろ、都の盗賊と申しましたならそれはそれは怖ろしいことで、御用心なされぬといけませぬ」

「盗賊が――」

「左様でござります、なんにしても乱世でござりますから、盗賊も大袈裟で、掛矢の大槌を以て戸を表から押破って乱入致し、軍用金を出せ、軍用金を出せと嚇しますとやら」

「うむ」

「そのほか辻斬は流行る、女の子は手込にされる、京都へ近いこのあたりでも、ほんとに気が気ではありませぬ」

「うむ」

「あれまあ、人が見えます、駕籠が二挺、あれが昨夜の若夫婦でありましょう。お武家様、ごらんあそばせ、まあ、おかわいそうに」

欄干の間から外の方を覗いていた女中の声が慌ただしい。

三

今の京都は怖ろしいところ。

それは女中どもに聞くまでもなく、竜之助は好んでそこへ行くのである。いま京都に群がる幾万の武士、それを大別すれば、佐幕と勤王。

徳川を擁護するのと、それを倒そうとするのとが、天子在すところで揉み合っている――その間に絡まるのが攘夷。志士を気取って勤王を看板に、悪事を働く厄介者。