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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Read 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,314 characters · 398 screens
に任せて、拙者は黙って見ている」
芹沢鴨は水戸の天狗党の一人です。芹沢鴨とは変名で、実は木村継次という。同じ水戸の山崎が見て、団扇を近藤に上げるところより見れば、双方の相違がおのずからわかるとも言える。
「いずれにしても、拙者は、これより壬生へ行くことは見合わせ、ほどよき宿をとって、ひそかに芹沢と会いたい、そうして身の振り方をきめる」
「そうか、まあゆっくり都見物でもするがよい、隊へ入ると気が忙しくなる」
「芹沢に、拙者が上って来たと伝えてくれ、近藤、土方には知らせたくない」
「よし、そう言おう。宿はどこへ取る」
「左様、目立たぬよう、然るべきところはないか、周旋を頼む」
「六角堂の鐙屋というのを拙者は知っている、それへ紹介しよう」
「よろしく頼む」
こんな話をして酒を飲み合い、微醺を帯びてこの茶屋を出ると、醍醐から宇治の方面へ夕暮の鴉が飛んで行く。
「それはそうと吉田氏、京都へ入ったなら、滅多に刀は抜かぬがよいぞ、血の気の多いのがウヨウヨいる、今の壮士のような奴が」
「あの命知らずには驚いた」
「しかし、あんなのは珍らしい、全くの命知らずじゃ。そうそう、何と言ったかな、あいつの名前は」