Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Read 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,314 characters · 398 screens
「歯の力だけが、こんなもんじゃ」
「愉快愉快、も一つ飲め」
近藤勇は、小野川の老いて稚気ある振舞を喜んで話していると、芹沢は、さっきから席を周旋して廻るお松の姿に眼をつけて、
「いま銚子を持って立った、あの可愛い女、あれはどこの子だ。ナニ、木津屋の養女だと。そうか、ゆくゆくは太夫にでもなるか。拙者が贔屓してやるからここへ来いと言え」
お松は今日の忙しさに加勢に頼まれて来ていたのを、
「お松さん、あの正面の怖い面したお客様が、お前に御用だと申しておりますが」
囁かれて、お松は、
「ただいま参りまする」
この時、歌うもの踊るもの、相撲を相手に腕相撲をするもの、芸子へかじりついて騒がすもの。
「おい、庭で一丁」
新撰組の沖田総司は、力自慢が嵩じて相撲を一人ひっぱり出し、庭へ下りて四股を踏む。
「沖田川、しっかり!」
席は混乱して、みな縁先へ集まる。
芹沢鴨は、それには眼もくれず、
「お前は美い女じゃ、ここへ坐れ」
目を細くして、前へ来たお松の面を見る。
「御免あそばせ」
お松は盃をいただいて下に置くと、
「わしは芹沢じゃ、たびたびここへ遊びに来るが、お前の姿を見るは初めてだ、名は何と申す」