Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Read 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 200,314 characters · 398 screens
「卑怯な! なぜ尋常に来ぬ、暗討ちとは卑怯な」
「黙れ黙れ、これが貴様の当然受くべき運命だ!」
勢い込んだ一太刀が、芹沢の右の肩。
「むー」
これは今までの傷のなかでいちばん深かった。芹沢はついに刀を持つに堪えなくなった。
「エイ!」
左から来た沖田総司の一刀は、横に額から鼻の上まで撫でる。
「おう――」
芹沢はと倒れた、土方歳三は直ぐにそれにのしかかる。
「残念!」
芹沢は土方に刃を咽喉にあてがわれた時に叫ぶ。
「土方待て」
近藤勇は進んで来て、
「芹沢、拙者がわかるか、拙者は近藤じゃ、恨むならこの近藤を恨め!」
「おのれ近藤勇!」
恨みの一言を名残り、土方歳三はズプリと、芹沢の咽喉を刺し透してしまった。
「これ、お梅」
藤堂平助は慄えていたお梅の襟髪を取って、
「よく見ておけ、これが見納めだ、貴様の可愛ゆい殿御の最期のざまはこれだ」
「どうぞお免し下さい」
「しかし美い女だな」
「芹沢が迷うだけのものはある」
藤堂と沖田とは面を見合せて、土方と近藤との方に眼を向ける。助けようか殺そうかとの懸念。近藤勇は首を縦に振らなかった。
沖田は女の弱腰を丁と蹴る。
「あれ――」
振りかぶった刀の下に、お梅は肩先から乳の下にかけてザックと一太刀、虚空を掴んで仰けぞると息は脆くも絶えた。