Japanese reading practice

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

Read 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 368,567 characters · 720 screens

Aozora Bunko

「珍しいじゃありませんか」

「お一人ですか、何をなさっていらっしゃるの」

「お雪さん、まあおはいりなさい、いま拙者がしきりに工夫を凝らして、一代の大発明を完成しようとしているところです」

「お火がありましたら、少し頂戴させていただきとうございます」

「火ですか――」

北原賢次は今更のように炉中を見ると、よく枯れた木の根が煙を立てずに赤い炎を吐いている。

「有りますとも、この通り。お持ちなさい、いくらでも」

火箸を取って火を掻き出してやると、お雪は中へはいって来て、

「ほんとにわたしの部屋は変なのです、いくら炭をついでも、立消えばっかりしてしまいますものですから」

「それはいけません、炭が悪いんでしょう、火種ばかりよくっても、炭が悪くっては持ちません」

「炭だって、そう悪い炭じゃないようですけれど、熾ったから安心と思っている間に、水をかけたように立消えてしまうんですものね」

「では、炉がいけないのでしょう、下に抜穴があるか、或いは水分がしみ込むように出来ているのかも知れません」

「いいえ、見たところ、異状はありません、それに三階ですから、水の来る心配はないはずです、おおかた、部屋が陰気に出来ているせいなんでしょう」