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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Read 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,112 characters · 362 screens
「いかにも、私には三人の連れの者がありました、途中においてその者の姿を見失いたるが故に心許なく、これまで追いかけて参りました」
「おおその三人は……ここに斬られている、多分、これらの人たちがそれではないか」
「ええ?」
離れている少年は、その時に、つつと橋板の方まで馳せ寄って来ました。しかしながら、刀の鯉口は切って、寧ろ、駒井甚三郎を斬らんとして飛びかかって来るもののようです。駒井は提灯を楯に、その鋭鋒を避けんとするものであるかの如く見えます。
「その斬られた人々は、いずれにござります」
「これへおいであれ」
甚三郎は自身、橋の上へ引返して案内しようとする。それと並び寄るかのように少年は、刀の柄に手をかけて、
「貴殿はそもそも、いずれのお方でござる」
こう言って詰問の体であります。返答の出ようによっては、たちどころに斬ってかかろうとする事の体でありました。駒井甚三郎は提灯をかざして、やはり、その少年の鋭鋒を避けるようにしながら、
「拙者はこの附近に住居致す者でござるが、そういう御身は、いずれよりおいでなされた」
そこで、提灯の間に、二人の面が合いました。いずれも覆面はしておりません。